透析後の「きつい」「だるい」を和らげるために
定期的な血液透析、本当にお疲れ様です。週に3回、1回に数時間もベッドに横になりながら治療を受けるのは、決して楽なことではありませんね。
患者さんから、「透析の後は、体が鉛のように重くて動けない」「帰宅するとすぐに横になってしまう」といったお声をよく伺います。この透析後がきついという症状は、多くの患者さんが抱える共通のお悩みです。
なぜ透析の後にきつさやだるさを感じるのか、そして、その辛さを少しでも和らげるために日常生活でどんな工夫ができるのかについて、分かりやすくお話しいたします。
なぜ透析の後はこんなに疲れるの?
透析が終わったあとのきつさには、いくつかの原因が隠れています。体の中で何が起きているのかを知ることが、解決への第一歩です。
急激な水分の移動と血圧の低下
私たちの体は、半分以上が水分でできています。腎臓の働きが弱くなると、おしっこで水分を外に出せなくなり、体に溜まっていきます。透析では、この溜まった余分な水分を数時間という短い時間で一気に取り除きます(これを除水と呼びます)。
短い時間で体重が2キロも3キロも減るわけですから、体にとってはフルマラソンを走ったような負担がかかります。また、水分が急に減ることで血圧が下がりやすくなり、ふらつきやだるさの原因となります。
体のゴミが急に無くなることによる変化
透析では、血液中の老廃物(体のゴミ)も綺麗にお掃除します。血液は綺麗になるのですが、脳の細胞の中にはまだ老廃物が残っているため、血液と脳との間で「バランスの崩れ」が起きます。
これを専門用語で「不均衡症候群(ふきんこうしょうこうぐん)」と呼びます。このバランスの崩れが、頭痛や吐き気、強いだるさを引き起こす原因の一つです。特に透析を始めたばかりの頃に起こりやすい症状です。
栄養分も一緒に抜けてしまう
透析は悪いものを出すだけでなく、体に必要なビタミンやアミノ酸といった栄養素も、少しだけ一緒に洗い流してしまいます。これが積み重なると、エネルギー不足になり、疲れやすくなってしまいます。
| 透析後の主な症状 | 考えられる主な原因 |
| 強いだるさ・疲労感 | 急激な水分の減少(除水)、エネルギーの消耗 |
| ふらつき・めまい | 血圧の低下 |
| 頭痛・吐き気 | 体のバランスの急激な変化(不均衡症候群) |
| 足のつり(こむらがえり) | 水分の引きすぎ、ミネラルバランスの乱れ |
きつさを減らすための4つのポイント
透析後のきつさは、日々のちょっとした工夫や、私たちクリニックとの連携で、大きく改善することがあります。今日から心がけていただきたい4つのポイントをご紹介します。
① 塩分を控えて体重の増えすぎを防ぐ
これが一番大切です!透析と透析の間の体重増加が多ければ多いほど、次回の透析でたくさんの水分を抜かなければなりません。たくさん抜けば抜くほど、体への負担は大きくなり、透析後がきつくなります。
喉の渇きを抑えるためには、まず「塩分」を控えることが重要です。塩辛いものを食べると、どうしてもお水が飲みたくなってしまいます。お醤油を「かける」のではなく「つける」にするなど、小さな工夫から始めてみましょう。塩分を控えることで喉の渇きを抑え、自然と水分の摂取量も落ち着いてきます。
② 透析の日はゆったり過ごす
透析の後は、体が想像以上に疲労しています。透析がある日は「頑張らない日」と決めてしまいましょう。
帰宅後は無理に家事などをせず、まずは横になって休んでください。お買い出しや重労働は、透析がない「お休みの日」に回すなど、スケジュールの工夫をしてみてください。透析を午後や夜間にずらすことで、午前中は活動的で元気な時間を確保することも出来ます。
③ しっかり食べて体力をつける
「透析食は制限が多くて食べる気がしない」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、十分なカロリーと良質なタンパク質(お肉、お魚、卵、大豆製品など)を摂らないと、筋肉が落ちてしまい、ますます疲れやすい体になってしまいます(これをフレイルと呼びます)。
カリウムやリンの数値に気をつけながらも、美味しく、しっかりと栄養を摂ることが大切です。食事のことで悩んだら、いつでも当院のスタッフに相談してくださいね。
④ 遠慮せずに私たちに教えてください
「きついけれど、こういうものだから我慢しよう」と思っていませんか?
透析中の機械の設定(水分の抜き方や血液を回すスピードなど)を少し調整するだけで、嘘のように透析後が楽になることがあります。
「いつもよりだるい」「足がつりそう」「頭が痛い」など、どんな小さなことでも構いません。遠慮せずに、医師や看護師、臨床工学技士に声をかけてください。患者さん一人ひとりの体に合った、一番負担の少ない透析メニューを一緒に見つけていきましょう。
さいごに
透析治療は、患者さんの命と健康を守るための大切な治療ですが、それに伴うきつさを一人で抱え込む必要はありません。
私たちうぐいす内科クリニックのスタッフは、皆さんが少しでも穏やかに、そして元気に毎日を過ごせるようにお手伝いしたいと願っています。
体重のコントロールや食事の工夫など、ご自身で頑張っていただく部分もありますが、決して無理はしないでください。つらい時、悩んだ時は、いつでも私たち「うぐいす内科クリニック」を頼ってくださいね。一緒により良い透析ライフをつくっていきましょう。
【ご家族の方へのお願い】
透析後の患者さんは、外見からは分かりにくい強い疲労感と戦っています。透析の日は、患者さんがゆっくり休める環境づくりにご配慮いただき、温かく見守っていただけますと幸いです。
