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腎移植という選択肢 ~もう一度、透析のない生活を~

週に何度もクリニックに通い、長い時間をベッドで過ごす中で、「もし腎臓の移植ができたら、どんなに楽だろう」「もう一度、時間や食事を気にしない生活に戻りたいな」と想像したことはありませんか?

透析は皆さんの命をつなぐための大切な治療ですが、やはり負担がゼロではありません。だからこそ、「腎移植を受けたい」と願うのは、人としてとても自然なことです。

透析患者さんにとってのもう一つの希望の光である「腎移植」について、昨今の医療事情や、知っておいていただきたい大切なポイントを分かりやすくお話しします。

腎移植には「2つの種類」があります

腎移植とは、他の人の健康な腎臓を手術で自分の体の中にいただき、再びおしっこを作れるようにする治療法です。大きく分けて2つの種類があります。

① 生体腎移植(せいたいじんいしょく)

ご親族(親、兄弟、お子さん、配偶者など)から、2つある腎臓のうちの1つを提供してもらう方法です。提供してくれる方(ドナー)が健康であることが条件ですが、手術の時期を計画的に決めることができ、移植後の成績も非常に良いのが特徴です。

② 献腎移植(けんじんいしょく)

亡くなられた方から、善意で腎臓を提供していただく方法です。ご親族に提供者がいない場合でも、日本臓器移植ネットワークに「移植を希望します」と登録をしておくことで、順番を待つことができます。

移植の「メリット」と、知っておくべき「注意点」

移植が成功すると、透析に通う必要がなくなり、食事や水分の制限も大きく緩和されます。しかし、すべてが良いことばかりではなく、注意しなければならない「現実」もあります。

【表:腎移植のメリットと気をつけたいこと】

  具体的な内容 私たちからお伝えしたいこと
メリット

・透析に通う必要がなくなる

・カリウムや水分の制限が緩くなる

・体力や気力が回復しやすい

旅行に行ったり、美味しいものを食べたりと、生活の質(QOL)が劇的に向上します。
注意点① ・ほぼ一生、「免疫抑制剤」を飲む必要がある いただいた腎臓を体が「異物」と勘違いして攻撃(拒絶反応)しないよう、毎日欠かさずお薬を飲む必要があります。
注意点② ・感染症にかかりやすくなる 免疫を抑えるお薬を飲むため、風邪や肺炎などの感染症に対する抵抗力が落ちてしまいます。
注意点③ ・日本の「献腎移植」は待ち時間が長い 現在の日本では、登録してから移植を受けられるまで、平均して約15年という長い待機期間があるのが現実です。

「私はもう高齢だから…」と諦める必要はありません

「移植は若い人が受けるものでしょ? 私のような高齢者には無理よね」と諦めてしまう方がいらっしゃいますが、実は腎移植に厳密な年齢制限はありません。最新の医療では、年齢そのものよりも「手術に耐えられる体力があるか」「心臓や血管の働きがしっかりしているか」が重視されます。

実際、70代で移植手術を受け、元気に過ごされている患者さんもいらっしゃいます。ただし、全身麻酔をかける大きな手術になるため、ご自身の血管の状態や、隠れたガンなどがないかを、事前に大きな病院でしっかりと検査して判断する必要があります。

但し、先ほどお話したように献腎移植は待機期間が非常に長いため、親族から腎臓をもらう生体腎移植が現実的となります。

「移植を受けたい」と思ったら、どうすればいいの?

もし少しでも「腎移植について詳しく知りたい」「自分が受けられるか検査してみたい」と思われたら、以下のステップで進めていきます。

  1. まずは医師にご相談ください

    現在のあなたの体の状態(心臓の働きや、その他の持病など)を見て、移植のための検査に進めるかどうかを一緒に考えます。

  2. 移植を行っている大きな病院へご紹介します

    当クリニックから、九州大学病院へ紹介状を書きます。そこで詳しい検査や、ご家族を含めた説明を受けていただきます。

さいごに:希望を胸に、今の透析を安全に続けましょう

献腎移植を希望される場合、日本ではどうしても長い順番待ちが必要です。しかし、「いつか移植を受ける日」のために、そして何より「毎日の生活を元気に過ごす日」のために、今できる最大の準備は「日々の透析をしっかり受け、合併症を防ぎ、体を若々しく保つこと」です。

血管がボロボロになってしまったり、体力が落ちてしまったりすると、いざ順番が回ってきたときに手術が受けられなくなってしまいます。

「移植に興味がある」というお気持ちは、これから透析を頑張るための大きなモチベーション(目標)になります。決して一人で悩まず、どうぞ遠慮なく私たちにお声がけください。あなたの希望を叶えるために、クリニックのスタッフ全員でサポートさせていただきます。

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