健診で腎機能がひっかかったと驚かれた方へ
年に一度の健康診断。送られてきた結果の封筒をドキドキしながら開けてみると、「腎機能」の欄に「要精密検査」や「C判定・D判定」といったマークがついていた…。
「今まで一度もひっかかったことがないのに」「どこも痛くないから何かの間違いでは?」と、驚きと不安でいっぱいになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「腎臓が悪い=すぐに透析になってしまうのでは?」と、怖い想像をしてしまうお気持ち、とてもよくわかります。
でも、健診でひっかかったからといって、明日からすぐに大変な治療が始まるわけではありません。むしろ、「症状が全くない今のうちに気づけて本当にラッキーだった」と前向きに捉えていただきたいのです。
今回は健診結果の見方と、これからどうすればいいのかを、できるだけ優しく解説していきます。
健診結果の暗号を読み解きましょう
健診結果の用紙には、難しいアルファベットや漢字が並んでいますよね。腎臓の働きを知るために、まずは以下の2つの「暗号」をチェックしてみましょう。
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クレアチニン(Cr)
これは、筋肉が運動した後にできる「ゴミ(老廃物)」のことです。元気な腎臓は、このゴミをしっかりろ過して、おしっこ(尿)として外に捨ててくれます。しかし、腎臓のフィルターが目詰まりして働きが落ちると、ゴミを捨てられなくなり、血液の中にクレアチニンが溜まって数値が高くなります。
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eGFR(推算糸球体ろ過量)
クレアチニンの数値と、ご年齢、性別から計算される、「あなたの腎臓が今、100点満点中何点くらい働いているか」を示す最も大切な点数です。
例えば「eGFR 50」と書かれていれば、「腎臓の働きが健康な人の約50%(半分)に落ちている」という目安になります。一般的に、この点数が「60」を下回ると、健診でひっかかることが多いです。
どこも痛くないし、元気なんだけど…?
診察室で一番よく聞かれるのが、この言葉です。
実は、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、とても我慢強い働き者です。働きが半分(eGFR 50)になっても、痛みもだるさも全くありません。おしっこも普段通りに出ます。
体がむくんだり、息切れがしたり、疲れやすくなったりといった「自覚症状」が出るのは、腎臓の働きが残り15〜20%くらいまで落ち込んでしまった、ギリギリの最終段階になってからです。
だからこそ、「元気だから大丈夫」と健診結果を机の奥にしまって放置してしまうのが、一番怖いことなのです。症状がない今、健診という「客観的なデータ」で早期発見できたことは、あなたの未来の体を守る大きなチャンスです。
なぜ数値が悪くなったの? 意外な原因も
腎臓の働きが落ちる原因は、長年の「高血圧」や「糖尿病」などが代表的ですが、高齢の方の場合、実は以下のような「一時的な原因」で健診の数値がポンと悪く出てしまうこともよくあります。
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健診当日の「水分不足(脱水)」: 朝ごはんやお水を抜いて健診に行きませんでしたか? 体の水分が足りないと、血液が濃くなり、一時的に腎臓の数値が悪く出ることがあります。
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いつもの「お薬」の影響: 腰やひざが痛い時に飲む「痛み止め(ロキソニンなど)」を頻繁に飲んでいると、腎臓の血管がギュッと縮んでしまい、負担がかかることがあります。
「ただの脱水だった」「お薬をやめたら数値が元に戻った」というケースもたくさんありますので、過度に心配しすぎないでくださいね。
これからどうすればいい? 3つのお願い
「要精密検査」と言われたら、まずは私たち内科のクリニックを受診してください。その際、ご自宅でお願いしたい3つのことがあります。
① 健診結果の「用紙」を必ず持ってくる
今年の結果だけでなく、もしあれば「去年や一昨年の結果」も一緒に持ってきてください。「今年急に悪くなったのか」「数年かけて少しずつ下がってきているのか」を見比べることは、治療方針を決める上で最も大切な手がかりになります。
② 「お薬手帳」を忘れずに
他のお医者さんでもらっているお薬、薬局で買った市販の痛み止めや、健康食品・サプリメントなど、口に入れているものをすべて教えてください。思わぬものが腎臓の負担になっていることがあります。
③ 痛みのない「再検査」でしっかり確認
当クリニックでは、もう一度血液検査と尿検査を行い、本当に腎臓が弱っているのかを確認します。必要であれば、以下の検査も行います。
| 検査の種類 | 何を確認するの? | 体への負担 |
| 超音波(エコー)検査 | 腎臓の「形」や「大きさ」が縮んでいないか、石などが詰まっていないかをカメラで見ます。 | 全く痛くありません。お腹にゼリーを塗るだけです。 |
| 尿たんぱく検査 | 腎臓のフィルターから、大切な「たんぱく質」が漏れ出ていないかを調べます。 | おしっこを採るだけです。 |
さいごに:私たちは「腎臓を長持ちさせるプロ」です
「健診でひっかかってしまった……」と落ち込む必要はありません。
一度失われた腎臓の働きを100点満点に戻す魔法のお薬はまだありませんが、今の点数を「これ以上下げないようにキープする(長持ちさせる)」ための素晴らしい治療法やお薬は、たくさん開発されています。
血圧を少し下げる、お味噌汁の汁を半分残す、こまめにお水を飲む。
そんな毎日のほんの少しの工夫の積み重ねで、一生ご自身の腎臓で元気に過ごすことは十分に可能です。
「結果の紙を見たけれど、自分の点数がどこに書いてあるかわからない」
「お水って、お茶でもいいの?」
どんな小さな疑問でも構いません。健診結果の紙を握りしめて、どうぞお気軽にうぐいす内科クリニックのドアを叩いてください。あなたの不安を安心に変え、大切な腎臓を一緒に守っていくお手伝いをさせていただきます!
