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リンが高いと言われたら? ~元気な血管と骨を守るために~

いつも透析治療、本当にお疲れ様です。週に何度もクリニックに通い、日々の食事や水分の管理など、皆さんのご自身の体と向き合う頑張りには本当に頭が下がります。

さて、毎月の血液検査の結果を見て、スタッフから「今回は少し『リン』が高かったですね」と言われたことはありませんか?

「リンって何?」「痛くも痒くもないから大丈夫じゃないの?」「どうやって下げればいいの?」と、疑問や不安に思われる方も多いと思います。

透析患者さんが長生きして元気に過ごすために、どうしても知っておいていただきたい「リン」の秘密と、その上手な付き合い方について、分かりやすくお話しいたします。

そもそも「リン」って何者?

リンは、カルシウムと手をつないで、私たちの「骨」や「歯」をカチカチに丈夫にしてくれる、体にとって大切なミネラル(栄養素)の一つです。お肉やお魚、大豆製品など、様々な食べ物に含まれています。

健康な腎臓は、体の中で使われなかった「余分なリン」を、おしっことして体の外に捨ててくれます。しかし、腎臓の働きがお休みしていると、おしっこが出ないため、このリンが体の中にどんどん溜まってしまうのです。

「じゃあ、透析で綺麗にすればいいじゃないか」と思われるかもしれません。もちろん透析でもリンは抜けますが、実はリンは体の細胞の「奥深く」に隠れんぼしているため、数時間の透析だけでは十分に引き抜くことがとても難しいのです。

リンが高い状態が続くと、どうなるの?

「リンが高くても、痛くもないし熱も出ないから平気だよ」と思ってはいませんか?実は、これがリンの怖いところです。高い状態が何ヶ月、何年と続くと、体の中で静かに以下のような恐ろしい変化が起きてしまいます。

骨がスカスカになり、もろくなる

血液中のリンが増えすぎると、体は慌ててバランスをとろうとして、なんと自分の骨からカルシウムを溶かし出してしまいます。すると、本来丈夫であるはずの骨がスカスカになり、ちょっと転んだだけで骨折しやすくなってしまいます。

血管がカチカチの石のようになる(血管の石灰化)

骨から溶け出したカルシウムは、血液の中で余っているリンとくっついて「石(石灰)」のようになります。これが、全身の血管の壁にこびりついて、血管を硬く、狭くしてしまいます。これを専門用語で「血管の石灰化(せっかいか)」と呼びます。

これが心臓や脳の血管で起きると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の引き金になってしまうのです。

強い「かゆみ」が出る

皮膚の下にリンとカルシウムの小さな塊ができると、とても強い「かゆみ」を引き起こすことがあります。夜も眠れないほど痒くなり、生活の質を大きく下げてしまいます。

リンを下げるための「3つの作戦」

透析患者さんのリンの目標値は、一般的に「3.5 ~ 5.5 mg/dL」です。この安全な範囲に保つために、今日からできる3つの作戦をご紹介します。

作戦その1:お薬(リン吸着薬)を「正しいタイミング」で飲む

これが一番の近道で、とても大切な作戦です。リンを下げるお薬は、「食事に含まれるリンと、胃や腸の中でくっついて、便と一緒に体の外へポイっと出してくれる」という働きをします。

ですから、お腹の中に食べ物があるタイミング(食事の直前や直後など)に飲まないと、全く効果がありません。「あ、飲み忘れたから寝る前に飲んでおこう」としても、お薬が空振りしてしまいます。

飲むタイミングや量で迷ったら、決して自己判断せずに、いつでも私たちスタッフに聞いてくださいね。

作戦その2:食事の工夫 ~「見えないリン」に要注意!~

食べ物から入ってくるリンを減らすことも大切ですが、「お肉やお魚」などのタンパク質を減らしすぎると、体力が落ちてしまいます。

そこで注目していただきたいのが、加工食品に含まれる「人工のリン(食品添加物)」です。人工のリンは、お肉などに含まれる自然のリンに比べて、体への吸収率がほぼ100%と非常に高く、あっという間に血液の数値を上げてしまいます。

気をつけたい食品(人工のリンが多い) うぐいす内科からの「おすすめの工夫・代わりになるもの」
ハム・ソーセージ・ベーコン 食べるなら保存料、調味料、増粘多糖類が入ってないもの、または少ないものを選ぶ。または、お湯でサッと「下茹で」してリンを落としてから調理する。
練り物(ちくわ・かまぼこなど) なるべく新鮮なお肉やお魚、お豆腐などの大豆製品をメニューの主役にする。
インスタントラーメン・カップ麺 麺にはリンがたくさん含まれています。食べるなら麺を一度茹でこぼす。スープは絶対に飲まずに残す!
プロセスチーズ ナチュラルチーズ(カマンベールやモッツァレラなど)を少量だけ楽しむ。

作戦その3:最後までしっかり透析を受ける(透析量を十分確保する)

決められた透析の時間を最後までしっかり受けることで、少しでも多くのリンを体の外に出すことができます。「今日は疲れたから早く帰りたいな」と思う日もあるかもしれませんが、ご自身の血管と骨を守るために、設定された透析時間をしっかりこなしましょう。

可能であれば、週3回、1回につき5時間以上透析時間を確保するようにしましょう。

まとめ

「リンの管理」は、透析を受けながら長生きして、美味しいものを食べ、ご家族やご友人と笑顔で過ごすために、本当に大切なテーマです。

しかし、食事の制限やお薬の管理など、ご自宅で一人で頑張るのはとても大変なことです。「お惣菜を買う時はどうしたらいいの?」「お薬を飲むと胃が痛くなるんだけど…」など、困ったことや悩んだことがあれば、どんな小さなことでも構いません。

私たち「うぐいす内科クリニック」の医師、看護師、臨床工学技士が、皆さんの生活スタイルに合った無理のない「リン対策」を一緒に考えます。次回の透析の時や診察の時に、どうぞお気軽にお声がけくださいね。一緒に頑張っていきましょう!

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